真菌性皮膚炎・皮膚真菌症
皮膚真菌症
人間の皮膚には常に細菌や真菌(カビ)といった微生物が常在しています。
これらの微生物のうち病原性を持つ真菌(カビ)類の増殖を原因とする皮膚の病変が皮膚真菌症で、その感染部位の深さによって皮膚表面のみの病変である表在性皮膚感染症と皮膚内部の感染症である深在性皮膚感染症に分類されています。
しかし皮膚自体が外部からの微生物や異物の侵入を阻害する防御機能を持つ組織であるため、実際にみられる皮膚真菌症のほとんどが表在性皮膚真菌症であり、深在性皮膚真菌症は比較的まれな感染症であるとされています。
表在性皮膚真菌症は皮膚科外来の約13%を占めるとされており、足白癬(水虫)を始めとした白癬、皮膚カンジタ症、癜風などと言った疾患が該当します。
症状は発症部位や原因菌によって異なるとされていますが、他の皮膚病やアレルギー症状と同様の痒み、赤み、湿疹、皮膚が厚くなる、剥がれ落ちるといった症状を主症状とするものが多いため、その診断は病変部に真菌がいるかどうかで判断されることになります。
高温多湿、通気性の悪さなどによる真菌の増殖によって発症し、伝染性でもあるため、感染者との直接の接触や、更衣室やシャワー室などでの間接的な接触によっても感染するとされています。
そのため感染を避けるためには個人の衛生管理はもちろん、感染者との直接接触を避ける、関節的な接触による感染のリスクのある場においては素足で歩きまわったりしないといった配慮が必要とされています。
一方の深在性皮膚真菌症とは、真菌が表皮の下に入り込み真皮、皮下組織、さらに体の深部において感染症を引き起こしたもので、白癬菌性肉芽腫、深在性皮膚カンジタ症、スポロトリコーシス、クロモミコーシスと言ったなどが挙げられます。
主に免疫力・抵抗力の低下に伴って発症する日和見感染として発症する真菌症で、特に臓器移植を受けた後や、免疫抑制薬などの使用による免疫力の低下に伴って発症するとされています。
◆主な表在性皮膚真菌症の症状◆
※足白癬
一般に水虫と呼ばれている症状で、皮膚科外来における皮膚真菌症の約9割を占めるとされています。
また発症部位によって趾間型、角化型、小水泡型、爪白癬に分類されています。
→詳しくは「水虫」のカテゴリーへ
※体部白癬(たむし)
小さな赤い発疹が拡大して環状の赤斑となる。
中心部が茶色に変色し、辺縁が堤防状に赤く隆起し、水疱や急診が見られる。
通常痒みを伴う。
※頭部白癬(しらくも)
毛穴の部分が赤く腫れ、フケガ多くなり、病変部に円形の脱毛を生じる。
痒みが生じる場合もある。
※股部白癬(いんきん)
陰のう、陰嚢、性器周辺、ふとももの痒みを伴う湿疹が発生する。
※皮膚カンジタ症
乳児皮膚カンジタ症、カンジタ性指間びらん症、カンジタ性爪囲爪炎、外陰カンジタ症、口腔カンジタ症に分類される。
赤斑周辺に膿をもった小さい湿疹が発生し、痒みや、痛かゆさを伴う。
※癜風(でんぷう)
上半身、特に胸部や背部を中心に淡褐色の楕円系の色斑(黒色癜風、或いはくろなまず)や、脱色色斑(白色癜風)ができる。
それぞれが融合したり、拡がったりするが痒みは伴わないことが多い。
◆治療法◆
皮膚真菌症の治療には原因となっている病原性真菌(カビ)に対する抗真菌薬が使用されます。
抗真菌薬は人間にはない、真菌(カビ)独自の構成要素の働きを阻害することによって静菌、或いは殺菌作用を発揮するものです。
症状が軽度であったり、局所的にのみ認められる場合には外用薬での治療が中心となりますが、症状が広範囲に渡る場合や、爪や頭皮などの外用薬が浸透しない箇所、または感染が皮膚の表面から深い場合(深在性皮膚真菌症)などには内服薬での治療が必要となります。
また、抗真菌薬や抗生物質は長期に渡って使用を続けると、耐性菌を出現させてしまうことになるため、医師に指定された量、期間を守って使用することが重要とされています。
◆抗真菌薬◆
1. 外用薬 |
2. 内服薬 |
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